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▼石田屋との出逢いは?

石田屋さんとは、4年前に出逢いがありました。私どもの商品がある雑誌で紹介され、それを大阪の百貨店で実際にご覧になったそうです。私どものNUNOは東京・六本木に本店を構えており、そこまで探しに来られたのです。確か「羽根オーガンジー」という生地の商品だったと思います。

以前より共通の友人がいたということもあって、すぐにお話があり、取り引きも始まったというわけです。

 
▼その「羽根オーガンジー」という商品は何ですか?

布の中に羽根を入れたものです。布に手作業で羽根を一枚一枚入れて仕上げたもので、アイデアはほかの人たちにもあったかも知れませんが、機械を使いたくなかったのです。最初はご当地の津田駒の織機で、ある程度効率も考え、いろいろ試作をしました。そのうちに、機械が止まる寸前のスピードの時までに羽根を入れたらどうか、ということになって、そのやり方で作っています。だから、しっかりした機械織りの布に手作業の要素が混在して、独特の味わいを持つ別個の布になったんだと思いますし、そこに石田屋さんが注目されたのでしょう。

 
▼なぜそういう布を作るのですか?

工芸デザインを専攻してたので、工業的な素材についての知識を持ってるということが大きいですね。鉄、陶器、木、繊維などは基礎的な素材ですから、一通り知識が身についてました。まわりの友人たちからの刺激もありました。例えば、鉄とクロムとニッケルの合金はステンレスになるんですが、吹き付けでメッキができるようになり、それをプラスティック繊維に吹き付けたら、いい布ができるぞ、とか。一点しか作らないアートではなくて、ある程度量産する工業製品をデザインするのが面白いのです。

 

▼ニューヨーク近代美術館に作品が所蔵されているって凄いですね

そんなに凄いことですか。紙を織り込んだ布とか、自動車のメッキ塗装を施した布とか、25、6点ほど購入され、展示されています。ニューヨークにオフィスがあり、MOMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーターに見出されたことがコレクションにつながっているのだと思います。テキスタイルは彼等にとっても新しいジャンルで、視覚・触感など五感に訴える表現媒体だと捉えているようです。でも私にとっては製品であり、商品であり、広く人々の生活に貢献できればと思って作っています。

[200年12月20日発行・季刊誌金澤No.14号]
 
 
 
●須藤玲子プロフィール
1953年生まれ。テキスタイル・デザイナー。84年株式会社「布(NUNO)」の設立に参画。以降、数多くの展覧会に作品を出品し、国際的に高い評価を得る。ニューヨーク近代美術館、ボストン美術館などに自分の作品が永久保存作品として所蔵されている。94年にロスコー賞を受けている。株式会社布でテキスタイルの企画・製造・販売を一貫して手がけ、約1,400点に及ぶオリジナルなテキスタイルを発表している。